スタッフ杉浦の高麗手指鍼セミナーブログ

2019-01-02

第14期 高麗手指鍼学術セミナー・本科受講生の杉浦です。

第5回(平成30年8月19日開催)の高麗手指鍼学術セミナー・本科を
受講しました。

セミナーの最初の質問コーナーで、私が普段練習していて感じ
ていたことを伺いました。それは、体の悪いところの相応部に
刺鍼し抜鍼すると出血することが多い、ということです。例えば、
右目だけ充血している時に、目の相応部に両目とも刺鍼した際、
右目の相応部からのみ出血がありました。また、胃の調子が悪い
時には、胃の相応部からの出血が他の部位よりも明らかに多く
出てきたことがありました。そこで先生に「体の悪い部分に対す
る相応部への刺鍼は、出血傾向にあるのか?」との質問をしま
した。先生はその通りとのことでしたので、続けて「それは、
瘀血と考えて、積極的に出した方がいいのか?」と質問したとこ
ろ、瘀血という考え方は他の流派の考え方であり、それを高麗
手指鍼に当てはめて考えるのは、土俵違いでありおかしな話に
なる。刺絡をすることにより、即効性の効果は期待できるが、
根本的な治療にはならない。刺絡に頼ると鍼の技術は伸びなと。
また、治療効果としては刺絡よりも置鍼を繰り返し行う方が効果
は高いが、時間が掛かり過ぎる為、ビジネス的には難しいなどの
回答をいただきました。

今回の高麗手指鍼セミナーの内容としては、「五治処方論」に
ついてでした。
前回のセミナーでは、五治処方論の理論のさわりの部分を説明し
ていただき、肝勝方、肝正方、胆勝方、胆正方までの解説してい
ただきました。
今回のセミナーでは、五治処方論の理論をじっくり解説していた
だき、残りの「心・小腸・心包・三焦・脾・胃・肺・大腸・腎・
膀胱」のそれぞれの勝方と正方の説明をしていただきました。
前回の五治処方論の理論の説明で、何となく理解はしていました
が、きちんと人に説明できるだけの理解はできていないと思って
いました。しかし、今回は具体的な資料や一覧表、そして先生の
非常にわかりやすい例を挙げての説明があり、十分な理解を得る
ことができました。また、それぞれの臓腑の勝方と正方の説明の
際に、それぞれどのような症状で効果が高いかや臨床でよく使う
処方の話をしていただきました。

実技の時間となり、私はそれぞれの臓腑の勝方と正方を刺鍼して
いき、刺鍼のチェックをしてもらうのだろうと思っていました。
しかし、それは私の思い違いでした。刺鍼のチェックは、もちろん
行なっていただきましたが、それぞれの臓腑の勝方と正方を順に
刺鍼していくのではなく、先生は「リウマチに効く処方」「鉄欠乏
性に対する処方」など、症状や病態に対する処方をせよ、とのお題
の出し方でした。私は大慌てで、講義の中で言われていた処方の
メモや、教科書を確認して刺鍼していきました。漫然と順々に五治
処方を刺鍼していくよりも、何倍も集中力が必要でしたし、これで
もう、それぞれの疾患に対応できる技術が身についているのだと
いう喜びで、俄然やる気が沸いてきました。その他にも、免疫力を
あげる処方・高血圧を下げる処方・便秘・中毒症・すべての痛みに
対する処方・逆流性食道炎など、お題を出していただき、それぞれ
の処方をしていきました。わからない時もありましたが、その時は
講義補助の方に伺い、わからないまま終わることもありませんでし
たし、しっかりと講義についていくこともできました。

私が鍼灸師を目指そうと思った理由の一つに、西洋医学では効果
の出せない疾患においても、東洋医学が有効である場合があると
いうことがあります。
私は、西洋医学でどうすることもできない難病に対しても対応で
きるような鍼灸師になりたいと思い、鍼灸師となりました。
先生は講義の中で、高麗手指鍼の位置づけを以下のように仰って
いました。
「高麗手指鍼は数ある流派の中でも、痛みの強い方に属するので
小児・美容・リラクゼーションを目的とするなら、不向きである。
しかし、難病患者は痛みよりも効果を期待して集まってくる。高麗
手指鍼は、難病で本当に困っている人のためにある」と。
私はその話を伺い、非常に感動しました。そしてこの流派を選んで
本当に良かったと実感しました。
次回の講義が今から楽しみです。その前に、自分の刺鍼技術をしっ
かりと高めて臨みたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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